復刻改訂版:2024.2.29 up
ちひろさんに憧れて
いわさきちひろさんの絵葉書の一枚を模写したものです。
それは摸写から始まった…
ちひろさんの子供たちの絵の表情に接した時、あの
瞳に不思議な魅力を覚えました。
何かをじっと見つめているような…、その感情を子供自身がどのように
表現しようか、考えているそのような雰囲気を感じたのでした。
最近、手元にある絵葉書を見て、あれっと思いました。
その表情が、ある画家が描いている子供の表情と似ているように思えたのです。
その画家とは、18世紀のフランスの画家ワトーです。
「シテールへの船出」という絵で有名な作家です。
彼の絵の中に「ダンス」と名付けられた絵があって、
そこには子供たちが描かれています。
彼らの表情と、ちひろさんの子供たちの表情が似ているのです。
その彼らの表情について、ある解説者は次のように述べています。
「どの子供の目を見ても、焦点は内に向いており、完全に忘我の状態に
あることがわかる。……この子供たちも夢の中にいるのだ。」
ちひろさんもこのワトーと同じような思いをもって、子供たちを描い
たのでしょうか?
そして、ふと感じた別の点はちひろさんの描いた絵の中で、笑顔、微笑みといった
子供たちの表情を余り見ないことなのです。それは、彼女の生きていた
時代と関係があるのかもしれません。
今、私は子供の笑顔に魅了されています。
子供の持つ魅惑的な力、それはあの飾り気のない笑顔にあるようにも
思えるのです。そのような、魅了される子供の笑顔を描きたいものです。